眠るあなたの手を握って、この時間よ永遠にって祈った
クーラーが効いた部屋で布団にくるまって冷たくなった足を絡ませて囁き合うのが好きなのよ、女は。
いや、嘘。私、ほかの女の子のことなんか分からないし興味がないし、あなたに女の子が好きなことを教えてあげるわけにはいかないんだった。私が好きなことだけを覚えて、私がされたいことを自然とできるあなたでいてほしいんだった。
私が泣いたときは理由を聞かないで抱きしめて「お腹すいたね」って言ってサッポロ一番の塩ラーメンを二人分作って目の前に出してほしい。鍋のままがいい。具なんか入れないで粉末スープだけ入れた愛嬌のないラーメンを目の前で、お味噌汁用のお椀に取り分けてほしい。「おかわりあるからな」って言ってほしい。おかわりしたら「いっぱい食べて偉いな」って子供を褒めるみたいに言ってほしい。
私のことをよく分からなくて掴めない女だと思っていていいよ。分かりやすくて単純な女だなんて私も思ってないし、実は私も私を掴めてないから。あなたに私のことを知った風になんかされたくないもの。
だけど知っておいてほしいことがあります。何度も言いたくないから、一度聞いたら覚えておいてほしいです。
私は傷つきやすいし、本当はかなり繊細だし、落ち込みやすくて、脆いです。でも、そんな部分を見せるのが嫌いで強がってタフな女を演じちゃうプライドが高い女でもあります。そんな安いプライドなんか捨てろよって言わないでね、私が一番そう思ってるから。あなたには「理解できない、面倒な女」って言われたくない。言わないでほしい。そんなことを言うダサい男にならないでほしい。私を、そんなダサい男を好きになったダサい女にさせないでほしい。
私を見て。”女”じゃなくて私を見て。目の前にいるのは女じゃなくて、私だってことを忘れないでいて。
期待をするから失望するんだってことは、もうとっくに気づいてるけど期待してたい。そんな大きな期待はしないから安心してほしい。ただ、好きなあなたに好きでいてほしい。私が幸せだって思ったときにあなたも同じくらい幸せを感じてほしい。
別に高価なバッグなんか買ってくれなくていい。クリスマスはケンタッキーと不二家のケーキでいい。回らないお寿司は緊張するからスーパーで半額になったネギトロ巻きでいい。
仕事からの帰り道にコンビニに寄って、私の好きなアイスを無意識に探すような人でい続けてほしい。そんなあなたを、好きでい続けさせてほしい。そんな日々を、そんな未来を期待してる。
そんなことを思いながら隣で眠るあなたの手を握って、この時間が永遠に続きますようにっていつも祈ってることをいつかあなたに言ってみたい。
私に、あなたのことを話して聞かせて。
ずっと永遠に。