気が付けば冬は春になって春は夏に変わろうとしていた。
わたしの秋は駆け足で過ぎていった。と言いたいけれど、わたしの秋はスキップされた。秋がスキップされたのか冬がスキップされたのか、思い返しても判断できないほどにそこの数か月の日々とわたしが「次へ」ボタンで飛ばされているみたいだ。
気が付けばわたしの髪は腰にあたるようになった。
くすぐったい腰がわたしのスキップされた時間を思い出させるように脳に刺激をおくる。
文章を書きたいと思ってパソコンをひらく。
定期的に書けていなくても、わたしは書くのが好きなのだ。
自分自身のことを書かなくても、空想のなにかを書いていても、頭の中が整理されていくからこうやって文字を並べることが断捨離で大掃除になる。
書くのが好きなのに、自分自身のことを細かく書くのが嫌なのは自己開示して誰かにわたしを知られるのがバカらしいから。書いても書いても足らないくらい、わたしという生き物は面倒くさい。面倒くさいわたしを何百文字 何千文字を使って開示したところで知ってもらえるのはほんの一滴程度。喉が渇いているときに飲む一滴の水が何の意味もないのと同じ。そういう感覚でいるわたしはやはり非常に面倒くさいじゃないかと苦笑しながらパソコンを鳴らしている。
春が終わった。
もうGWも終わった。世界は夏になる。
季節においてけぼりを喰らったわたしの世界はこの狭いひとり暮らしの、こたつが広がる部屋の中で冬にしがみついていた。
なんて言っている場合ではない。暑いだけだ。ただ暑くなる日々にビビったのだ。
こたつ布団とラグを抱えて向かいのマンションの一階にあるコインランドリーに駆け込んだ。
そろそろこたつ布団とラグがホカホカのフカフカになる頃だ。
わたしの夏が始まる。