mumu’s blog

映画で感情を乱しながらエッセイ書いています。

好きな人が優しかった

中学1年生のときに転校生が来た。僕の地元は地方の山奥だった。クラスメイトも先輩もみんなだいたい知った顔でだいたいが田舎特有の家族ぐるみの付き合いをしている者同士だった。 そんな田舎の中学校に転校してきた男はいわゆる不良だった。前の学校でも、…

正しいマスクの使い方

マスクで顔の半分、口元が隠れていることで煩わしさや気になる人の顔の全体像を把握できなくてもどかしさを覚える。それがコロナ禍における恋愛の障害のひとつなのかもしれない。 好きだと認めたくはないけど、きっとこの気持ちを何かの単語であらわすと”好…

映画 「わたしは最悪。」

わたしは最悪。 どうやらアカデミー賞の脚本賞 国際長編映画賞にノミネートされた映画らしい、どうやら20代後半~30代の女性に刺さるらしい、という少ない前情報だけでなるべく知識や情報や人の感想を入れずに観に行った。 アラサー女性の主人公 ユリヤは頭…

生きてるだけで偉いって言ってごめん

生きてるだけで偉い。こんな言葉を聞くと こんな地獄みたいなくそな世界で、居場所も頼る人も信頼できる人も私を必要とする人も大切にしてくれる人もなく、苦しんで悲しんで息もできないほど涙を流して鼻が詰まって耳も詰まって音が遠くなって浅くなる呼吸と…

青春だとか失恋だとか

爪が綺麗な人が好き。深爪でも、伸びすぎた爪でもなく、指を絡めて相手の指先が手の甲に当たった時に指の腹の感触の先にほんの少し、ほんの少しだけ爪の感覚を見つけられるくらいの。 あと、ささくれはないほうがいい。ささくれは嫌い。 私より賢い人が好き…

眠るあなたの手を握って、この時間よ永遠にって祈った

クーラーが効いた部屋で布団にくるまって冷たくなった足を絡ませて囁き合うのが好きなのよ、女は。 いや、嘘。私、ほかの女の子のことなんか分からないし興味がないし、あなたに女の子が好きなことを教えてあげるわけにはいかないんだった。私が好きなことだ…

二トラム/NITRAM 【映画】

映画のロケ地にもなり日本からの人気も高く、楽園とも呼ばれていた観光地で起きた銃乱射事件。 ”その日”までの彼を描いた映画「二トラム/NITRAM」を観て、自分の傲慢さに呆れた。 ママは僕のことが嫌いだ。だから、僕もママが嫌いだ。いつも僕を呆れた顔で見…

ウエスト・サイド・ストーリーの意味

※ネタバレ考察です スティーヴン・スピルバーグ監督でリメイクされた本作。 1950年代後半、ポーランド系とプエルトリコ系の敵対したグループとそこで生まれたラブストーリー。(あまりの名作なのであらすじなどは割愛します) ここからネタバレと偏った感想を…

声にできない叫びがツイートになって散る

なんとなく眠れない夜。なんとなく開いたTwitter。 Twitterは眠れない夜を過ごしているのは私だけではないことを教えてくれた。眠れない夜に誰にも言えないような気持ちを「つぶやき」として全世界に向けて発信するツイート。それは、こんな気持ちになるのは…

夜の雨の冷たさで私はあなたを思い出してしまう

雨が降っていた。 雨が降ることは知っていた。 傘をさしながら人混みを歩くと自分一人だけの空間にいる気がして私は今日を思い出してしまう。 「そういう種類ではないけど、なんかそれっぽいよね」と言った友達の唇の動きが蘇ってくる夜。目を閉じてそれっぽ…

ドライブ・マイ・カーの躍進劇

アカデミー賞 きっと映画を中心に生活していない人でも一度は見たり聞いたりしたことがある賞だろう。 「アカデミー賞」の作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編賞の4部門に日本の映画がノミネートされたらしい。それはすごい快挙らしい。 正直、細かいことや詳…

自分が分からなくなるとき

あなたが教室にいるとほかの子たちがみんな向日葵になる。 あなたが太陽でみんなは向日葵。 そんな風に小学生のとき先生に言われたっけ。 花に例えるならあなたはダリアね。 ぱぁっと周りを明るくしてくれる。 そんな風に中学生の頃に通っていた塾長に言われ…

コーダ で見る障害を持つ家族を持つということ

耳が聞こえない両親と兄と、家族で唯一の聴者の主人公ルビー。 わたしは観終わって映画館を出るのが恥ずかしいくらいに涙を流して目を腫らしたけれど、ほかの人はなにに涙を流すのか、観た人の細かな感想や感情の動きを知りたくなった。 わたしはあまり大き…

SNSとかフォロワー数とか

SNSがわたしの生活の一部になってもう10年くらいになる。 スマホが普及して一気に身近なものになった。Twitterは初めてわたしが始めたSNSで、これに慣れてしまっているから他のInstagramやTikTokに違和感があってアカウントを作るだけで、投稿などはほぼして…

片想いもできなくなって。

一目見て、なんだか苦手だと思った人に限って好きになってしまう現象になにか名前があるのか。本能が好きになるスピードのあまりの速さに恐れて「苦手」だと少しのブレーキを踏ませているのだとしたら。無意識に傷つくことを察して自分を守ろうとしているの…

ジュリア・ロバーツがプリンセスになったわけ

プリティ・ウーマン ポスターはなぜかリチャード・ギアの髪の毛を黒髪に加工してあるので、あまり好きではありません。 プリティ・ウーマンはわたしが今世でこれ以上の恋愛映画に出会えないと思わされた作品。この作品の影響でリチャード・ギアはわたしの中…

映画好きの映画館嫌い(HSP)

このブログの記事がほぼ映画から派生されていくものばかりなので、今更言うのも照れくさいけどわたしは映画が好きです。Amazon prime、Netflix、Disney+に入会して毎日のように映画を観ています。何度も言うけど、映画が好きです。(詳しいかは別として) 映…

ラスト・ナイト・イン・ソーホーのメッセージ

映画になにを求めるかは人それぞれで、その映画から何を感じてどう評価するかはそれぞれの感性によるのでわたしが感じたものを誰かが感じていなくとも、誰かの感想がわたしとは全く違うものでも、それは至極当然のこと。 2022年の初映画館は2021年の作品だっ…

看板になりたい

年末年始がバタバタと過ぎて、もう2022年も5日目になりました。 新年の挨拶大変遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。 昨年末に考えるでもなしに考えていた2022年の豊富のような人生の目標のような、そん…

ヒーローは痛みを感じるのか

生まれながらに骨が弱く、外出して怪我をしたり周りの人から陰口を言われることに怯えて家の中に引きこもる息子を少しでも外出させるために母親が計画する。外に置いたMARVELコミックを取りに行けば続きをまた外に置いてもらえる。 そうして、MARVELのヒーロ…

ディア・エヴァン・ハンセン

嘘をついたことがありますか? その嘘は人を傷つける嘘でしたか、自分を守る嘘でしたか、誰かを守る嘘でしたか、結果的にその嘘はあなたを苦しめましたか。 ディア・エヴァン・ハンセン わたしは頻繁に嘘をつく。 「大丈夫です。」と元気に答えて大丈夫だっ…

M-1グランプリ 肉うどん

今週のお題「忘れたいこと」 2021年12月19日 M-1グランプリの決勝戦。 わたしが5年ほど推しているロングコートダディが初めて決勝に進出した。 早くあのスタジオで漫才をするロングコートダディを見たいような、見たくないようなソワソワした日々を過ごした…

世間が求める女性像が生きにくい

踏切の遮断機の前。開かないでいい、ずっと。耳を塞ぎたくなるはずの警報音が今日は響いてこない。遠くで聞こえているような、聞こえてさえいないような。蛍を呼ぶ童謡のそれにも聞こえる。「おいで」と言われているような気がした。行こう。 女性が生きやす…

魔女の宅急便

映画が好きだと自覚するずっとずっと前。 わたしは魔女の宅急便に出会って恋をした。 祖父が買ってくれた魔女の宅急便のVHS。何度も巻き戻して繰り返し見た。 ホウキに跨って空を飛ぶ主人公のキキに憧れた。わたしも空を飛びたかった。飛べると思っていた。…

2021年の問題作

もう12月なのかと腕時計に表示された日付が目に入り気付かされた。木の葉が地面をこする。本当は落ちたくなかっただろうに、赤や黄色に染まっているときはあんなに愛されていたんだから。まだ落ちて踏まれたくないだろうに。今年が終わろうとしている。今年…

泣き止まない子供、無視する親(HSC・HSP)

わたしはHSCでした。 わたしはHSPです。 わたしは元々Twitterをメインに文章を投稿したり、趣味の映画アカウントで交流をしたりしていた。 今後もTwitterを辞めることはほぼないんじゃないかなと思う。趣味が突然嫌いになることはもちろんないだろうし。わた…

ずぶ濡れのブラッド・ピット

わたしは所謂、胸糞映画が好き。 絶望や孤独はわたしの感情を育ててくれた。映画の中だけではなく、わたしは絶望と孤独の中で夢を見続てきた。その夢を追いかけて言葉を並べることが今に繋がっている気がするから、わたしはまだせめて映画の中くらいは取り返…

グッド・ウィル・ハンティングみたいに

グッド・ウィル・ハンティングを観たことがある人はこの世界にどれくらいいるだろう。 幼い頃に観たグッド・ウィル・ハンティング。その幼さは年齢ではなく心の若さ。おしゃぶりを咥えている子供の目を見て、その純粋で汚れを知らない瞳に写ってしまうのが怖…

ヘイト・ユー・ギブ(肌の差別)

ヘイト・ユー・ギブ(2018年公開) 2009年にアメリカで起きた事件を基にした作品。 黒人差別と表現されるそれらは、生まれ持った肌の色だけで疑いの目を向けられる理由になるということ。これはあくまでわたしの解釈であり、ネットで検索すると出てくる正しい…

人生を選ぶとき

今週のお題「最近あったちょっといいこと」 18歳。 親元を離れて一人暮らしを始め、少し大人になった気がしている子供だった。 なにもかも、なにもかもが不完全だった。 一人分の食材はどのくらいの量なのか、キノコはどうなったら腐ったサインなのか、どの…