mumu’s blog

映画で感情を乱しながらエッセイ書いています。

ヒーローは痛みを感じるのか

 

 

生まれながらに骨が弱く、外出して怪我をしたり周りの人から陰口を言われることに怯えて家の中に引きこもる息子を少しでも外出させるために母親が計画する。外に置いたMARVELコミックを取りに行けば続きをまた外に置いてもらえる。

そうして、MARVELのヒーローに憧れた骨形成不全症の男性。

健康な人と比べると遥かに弱い自らの体を見て考える。「こんなに弱い人間がいるなら、ヒーローのように強い自分とは対極の人間が存在するのではないか…」

 

 

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アンブレイカブルはMARVEL作品のヒーローのような人外な強さはなく、すごく地味で自分でもその強さに気付かず生活しているヒーローを見つけ出す。

 

 

 

 

 

ヒーローは私たちと同じ程度の痛みを感じているのだろうか?と思うことがある。普通なら立ち上がれないほどの力を受けても、更に立ち向かう彼らの痛覚を不思議に思う。

 

 

 

中学生の頃の友人が住んでいた市営住宅に隣接する、よかったらここで遊んでね みたいな素っ気ない空き地のような公園があった。その公園に繋がる5段の階段にいつも座っている男の子がいた。

いつも大声で怒られて、いつも母親から力いっぱい体を叩かれていた。その姿を見るのも怖いほど母親はヒステリックに声を上げる。男の子は声を上げない。あまりにも無音なその子が気になって目を向けると、その子はいつも笑顔だった。にこにこ母親を見上げ、自分に振り上げられる母親の腕や足から体を守る風でもなければ怖がる風でもなくただにこにこしていた。

まるで、自分のために帰ってきてくれた母を嬉しそうに迎える無邪気な子供みたいなその姿を初めて見たときは何が起きているのか分からなかった。

 

「痛みを感じない病気なんだって」

と、友人が話す。いつも母親だけ大声で怒鳴って子供は泣きもしなければ言葉も発さず母親の力を受け止め続けるらしい。市営住宅の中ではその親子は有名だった。

 

痛みを感じず、嫌がりもしない。それを通報する人はいなかった。誰かが通報するべきだったのかもしれないけれど、母親が目の前に現れたときの彼の笑顔を見ていると正解が分からなくなる気がした。

 

 

 

 

ヒーローは痛みを感じているのだろう。

もちろん、私たちと同じ程度ではないけれど痛いのだろう。彼らなりに。

痛みを感じないなら守れない。そういうことだろう。痛みを感じなければ自分の体を守ることさえできないのだから、公園の階段に座る少年みたいに。ヒーローにとって痛みはある意味で力なんだろう。きっと、そういうことだろう。

 

あまりヒーロー物を観ないので分からない上に人外な力を見せつけられると不思議な気持ちになってしまうのでわたしはヒーロー物に向いていないと思う。そんなわたしが好きなアンブレイカブルのヒーローの彼は本当に強い。

一生を捧げたいと思えるほど大切な女性のために怪我をしたと嘘をついて人生の舵を大きくきった彼は人として、特別な力を身につけたわけではない普通に暮らす人として、すごく強いヒーローだと思った。

 

 

 

わたしは、痛みに敏感でありたい。痛いことを痛いと声に出せたらもっといい。もちろん体の痛みもだけど、心の痛みに敏感でありたい。

わたしは心が強くない。むしろとても弱いと思う。格好つける必要がないのでもう一度言う。わたしは精神的に弱いです。とても。

傷つきやすく痛みに敏感で心が弱いことをわたしは悪いと思っていない。わたしの弱さを恥じてもいなければ、人の弱さを笑うこともない。

傷つきやすい人は、人の痛みを分かってあげられる強い人だと思うのでわたしは好きです。

 

 

 

 

 

2021年のうちに3つくらいブログに書きたいことあったんだけど、全く時間に余裕がなくて書く暇がないのでこれを今年最後の記事にします。30分ほどで書いたので誤字脱字がありそうです…見つけたらご指摘お願いします。

本当に、とてもとてもお世話になりました。みなさんの存在がわたしの力でした。

来年も、再来年も、わたしが続く限りどうぞよろしくお願いいたします。

 

mumu